ペイサーズのドラフト、FAでの動きを考える なぜアーロン・ホリデーを指名権とトレードしたのか?
こんにちは、
先日からドラフトそしてFA契約期間が始まり連日、続々と正式に契約が決まっています。ペイサーズは、交渉期間が始まり1時間経たずクレイグ、マコネル両名との契約が報じられました。その時点で、トレードやストレッチを用いることで動くことは可能ですが、大方のロスターは固まったと思われます。
サマーリーグが開催され、後のキャンプに向けての契約等もありますが、今回は、サマーリーグ前時点でのオフシーズンの動きを考察してみました。
メインとなるのは、ドラフト当日に行われたトレードとそのトレードがもたらしたFAへの影響です。今回はソース等なく筆者自身で予想したものなので間違いがあるかもしれませんが読んでいただけると幸いです。
今回、専門的な用語が所々出てきますので説明も要所で入れたいと思いますがcba manさんが説明されているnoteを読んでいただけるとより考えやすいかと思います。
〇 2021-22シーズン
・サラリーキャップ$112,414,000
・タックスライン$136,606,000
・ミッドレベル例外条項
フルミドル$9,536,000
ミニミドル$5,890,000
ルームMLE$4,910,000
まず、ドラフト以前のサラリーを見ていきたいと思います
サラリーは下記を元に計算しています(計算間違えてたらすいません)
引用元:
ドラフトの前日の段階でのサラリーシート
マルコム・ブログドン | $21,700,000 |
ドマンタス・サボニス | $19,800,000 |
マイルズ・ターナー | $18,000,000 |
カリス・レバート | $17,500,000 |
TJ・ウォレン | $12,690,000 |
ジェレミー・ラム | $10,500,000 |
ジャスティン・ホリデー | $6,006,420 |
アーロン・ホリデー | $3,980,551 |
ゴガ・ビターゼ | $3,098,400 |
エドモンド・サムナー | $2,320,000 |
キーレン・マーティン | $1,701,593 |
オーシェー・ブリセット | $1,701,593 |
13位ドラフトホールド | $3,749,520 |
(モンテ・エリス) |
$2,245,400 |
合計 |
$124,993,477 |
ペイサーズは例年タックスライン超えた金額のサラリーを払っていない事とコロナによる財政難もあるため、今回は、タックスラインを超えないものとして考えます。
当時のペイサーズのロスターは2way契約を除き、無保証、チームオプション含め13人が21-22シーズンの契約を残している状況でした。そのためあと2人とオフ以降も契約が可能となります。
2021-22シーズンのサラリーキャップは$112,414,000でありペイサーズはこの時点でペイサーズはサラリーキャップを超えたチームとなっていました。タックスラインは$136,606,000なので、タックスまでの金額は$11,612,523です。(以下11.6Mと表記)この額は実質的な補強可能額です。
キャップスペースを持たないチームなので、バード権等を持たないFAとの契約手段はミッドレベル例外条項(今回のサラリー状況であればエプロン未満のためフルミドル約9.5Mまでを使用可能、)、BAE約3.7Mとベテランミニマムです。
※エプロンとはハードキャップ時に(フルミドルやサイン&トレードで選手を受け取った際になる)超えられない額で21-22シーズンは約143Mです。
チームが再契約をすると望んでいるとされていた、TJ・マコネルとダグ・マクダーモットはそれぞれ、アーリーバードとフルバードの資格を持っているため(アーリーバード権には上限はありますが)サラリーキャップに空きがなくとも再契約することが可能です。しかし、ProFitX(AIによるサラリーの算出)によると、再契約の予想額はマコネルが7M半ば、マクダーモットが12Mほどと予想されています。(両選手の活躍などから今回はこの金額を大きくかけ離れたような金額で契約することはないと想定します)しかし、その金額で再規約すると20M近くになり11.6Mを大きく上回る結果となっています。 これを踏まえると、両者ともに残すことはほぼ不可能という予想が出来ます。(少しメタ的な話になりますが、マコネルは初年度8M弱の4年35.2Mマクダーモットは例年のシューターの高騰もありますが初年度13.3Mの3年42Mと予想より少し高いですが両者ともに、ProFitXの予想と近い額で再契約を結んでいます。)
いくつかの再契約のシナリオを考えれられますが、両者を残すパターンを除外し、マクダーモット残留に動いた場合、マコネル残留に動いた場合、両者残留しない場合で考えようと思います。
・マクダーモットの残留に動くパターン
11.6Mという額で残すというのは難しいことですが相場の13Mより低い額ですが10Mで再契約することが出来れば残りを1部のベテランミニマム選手でロスターを埋めることが可能です。しかし、ベテランミニマムでマコネルと同等のレベルの選手を獲得できる保証はありませんし、主なオフの補強手段であるミッドレベル例外条項を使わない結果となり、オフの動きとしては戦力の補強どころか現状維持という点でも良いとは言えません。
・マコネル残留に動くパターン
再契約を7.5Mの相場に近い額でしたとすると4.1Mほどミッドレベル例外条項を使用可能となっています。この4.1Mという額はBAEを除いたミッドレベル例外条項の3種、フルミドル約9.5M、ミニミドル約5.8M、ルームMLE4.8Mすべての額を下回る額となっています。つまり、ミッドレベル例外条項を使用出来る全てのチームとのサラリーでの条件面で劣っていることになり、補強でチームが必要としている人物がいたとしても獲得できる確率は低くなると考えられます。
逆に、ミニミドルと同じ額の5.8Mでマコネル以外のFAと先に契約したとすると、マコネルとの再契約に使える額は、5.8Mとなります。そうなった場合、マコネルには、ミニミドルを使用できるチームは5.8Mまで、フルミドルを使用できるチームは、9.5Mまでの額をオファーをすることが出来るので残留は難しくなるでしょう。どちらのパターンを取ったとしても残留と補強を両立させるのは難しく思えます。
・マクダーモットとマコネルを残せなかった場合
11.6Mをフルミドル+ミニマム契約もしくは、フルミドルを分割して使用し、選手を2人獲得することが主になるかと思います。(ほかにも手段はありますが)どちらも、良くても現状維持が精一杯で避けたい最悪のパターンだと思います。
どのパターンであってもドラフト前の状況では、チームの戦力を維持するのは難しいことのように思えます。
そのような背景があり、ドラフト当日のトレードは行われたと思われます。簡単にはですが、ペイサーズ、ウィザーズの各々のトレードを行うことでのメリットを考えてみます。(実際は5チームでトレードは行われていますが、ペイサーズ目線から書いているのでトレードに関わっているウィザーズ、レイカーズの3チームのみで)
・保有していた2巡目指名権2つを2回のトレードで1巡目指名権に変えた。
・13位の指名権でガードのデュアルテを指名したため、ロスターのガード過多でロスターの整理
・対価で選手を受け取らない事によりサラリーを削減にすることが出来る。
・指名権と複数の選手でスターであるウエスブルック獲得
〇ウィザーズ(アーロン・ホリデー、ペイサーズ保有の31位指名権+他チームより複数選手)
・同じトレードでウエスブルックをレイカーズに送っていてPGの層が薄くなったため22位である程度実績のあるPGかつ31位を獲得できる。
自分はレイカーズ、ウィザーズファンではないため詳しくはわかりませんが、上記のようなメリットがあると考えられます。
ペイサーズ側から見ると、昨シーズン不調であった、アーロン・ホリデー+54位と60位の指名権で22位に変えています。
豊作年といわれている年の1巡目指名権に加え、ホリデーの来シーズンのサラリー約4Mを22位のルーキスケール、約2.4Mまで減ることで、約1.6Mのサラリーカット
ドラフト後のサラリーシート
マルコム・ブログドン | $21,700,000 |
ドマンタス・サボニス | $19,800,000 |
マイルズ・ターナー | $18,000,000 |
カリス・レバート | $17,500,000 |
TJ・ウォレン | $12,690,000 |
ジェレミー・ラム | $10,500,000 |
ジャスティン・ホリデー | $6,006,420 |
ゴガ・ビターゼ | $3,098,400 |
エドモンド・サムナー | $2,320,000 |
キーレン・マーティン | $1,701,593 |
オーシェー・ブリセット | $1,701,593 |
クリス・デュアルテ(13位) | $3,749,520 |
アイザイア・ジャクソン(22位) | $2,451,120 |
(モンテ・エリス) | $2,245,400 |
合計 | $123,464,046 |
トレード後、タックスまでの額は、約13.1Mまで増加しました。この動きにより、トレード前に比べ、マクダーモット、マコネルどちらかとは、再契約出来る可能性は上がった状態でFA交渉を迎えることが出来ました。
実際には、マクダーモットはサイン&トレードでスパーズに移籍となりましたが、年平均14Mの契約だったのでペイサーズの状況では、条件面で折り合いはつかなかったのですが、マコネルと7.5Mで再契約、クレイグとは約4.9Mで契約しました。
この2人との契約はドラフトでのトレードが無ければこの額のままであると0.8M足りず契約することが出来ていなかったことを考えると1.6Mのサラリー削減できた一連の動きは素晴らしいものだったと思います。そういった動きをドラフトで誰を指名するかなど考えながら、すぐ後に控えたFAにむけ、サラリー調整もこなすフロント陣の凄さというのが今回感じ取れました。
FA解禁後のサラリー
マルコム・ブログドン | $21,700,000 |
ドマンタス・サボニス | $19,800,000 |
マイルズ・ターナー | $18,000,000 |
カリス・レバート | $17,500,000 |
TJ・ウォレン | $12,690,000 |
ジェレミー・ラム | $10,500,000 |
ジャスティン・ホリデー | $6,006,420 |
ゴガ・ビターゼ | $3,098,400 |
エドモンド・サムナー | $2,320,000 |
キーレン・マーティン | $1,701,593 |
オーシェー・ブリセット | $1,701,593 |
クリス・デュアルテ | $3,749,520 |
アイザイア・ジャクソン | $2,451,120 |
TJ・マコネル | $7,500,000 |
トリー・クレイグ | $4,878,049 |
(モンテ・エリス) | $2,245,400 |
合計 | $135,842,095 |
アーロン・ホリデーを指名権に変えるトレードは一見するとペイサーズ側に不利なトレードという意見が散見されましたとが、サラリーの動きや、その後のFAを見てみると評価が変わってくるかもしれません。少なくとも筆者は、FAで契約した 2人の選手と契約の額をみて、トレードがペイサーズ側にとっても素晴らしい動きであったと確信しました。
ちなみに、22位で指名された、アイザイア・ジャクソン君は保有していた54位や60位で指名するのはほぼほぼ無理なことですし、1度目にトレードアップした31位でも難しいと思われますが、しっかり事前にワークアウトをしていたので、もともと目を付けていて、事前に獲得するためのトレード案をいくつも用意しているのかもしれません。サマーリーグでも能力の片鱗を見せているので、ただのサラリー調整のためだけのトレードではないと感じました。 彼の活躍にも注目してみるとよいかもしてません。
長くなってしまったのでこの辺にしたいと思います。読んでいただきありがとうございました。